あいたい

ico the second

2012年06月29日 23:05

 あの頃は、どうしようもなく気持ちが沈むと


彼に会いに行った。 1時間2時間たわいもない話をする。



それだけで、エネルギーが満ちて元気になったものだ。







でも、あの頃の私はあまりにも自分のことしか見えていなかった。




母の病気。 遠くにいる恋人。




彼のことを感じ取る余裕は無くて、




アメリカから戻って、久しぶりに彼に会いに行ったら




もう、この世にはいなかった。




青酸カリで死ぬなんて、小説のような死に方。





彼が生前話していたのは、「作品の仕上げには、青酸カリを使う。 一皮むいて仕上げる」ということ。





小説かドラマみたいに、彼も青酸カリで自分の人生を仕上げたのだ。




うそっぱちみたい。




でも、本当の事だ。





彼にあいたい。




リアリストの私なのにどうしたら良いのかわからない問題を、彼に話したい。





心の中の柔らかい部分をさらけだしたい。






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